きょうは「文化の日」。…
きょうは「文化の日」。案外、知っているようで知らないのが「文化」という言葉の意味ではないだろうか。広辞苑では「文徳で民を教化すること」「世の中が開けて生活が便利になること。文明開化」などとなっている。
これで何となく分かったような気持ちになるが、冒頭の「文徳」は今ではほとんど使われていない言葉だ。これも調べてみると「学問によって教化し、人を心服させる徳」とある。野蛮な風習をやめさせ、文化的な生活をさせることと言えるだろうか。
先進的な文化の国が後進的な国を導くことであれば、明治時代の「文明開化」は、西洋の文化による教化ということになるだろう。西洋の学問を学んだ時代である。が、西洋の近代思想だけが文化でないことは言うまでもない。
学問による教化が「文徳」であれば、日本は学問や先進文物に対する好奇心はかなり強かったと言えるだろう。遣隋使や遣唐使を盛んに送って中国の文化を輸入し、積極的に学んだ伝統は、日本文化を豊かなものにしてきた。
日本には「文化」という元号がある。江戸時代後期の「文化」(1804~18)で、その次の「文政」(1818~30)と併せて「化政時代」と呼ぶ。11代将軍徳川家斉(いえなり)の治世で、この時代に庶民文化が花開いた。
テレビの時代劇の風俗などは、主にこの時代が背景になっている。庶民が生き生きとして文化が栄え、平和を謳歌(おうか)した時代でもあった。