地震多発国のわが国の歴史を見ると、地震に…
地震多発国のわが国の歴史を見ると、地震によって多くの命を奪われたことが何度もあった。しかし、そのつど悲嘆をバネに復興を遂げてきた。海洋研究開発機構と名古屋大の研究チームの今回の発見は、地震による被害の軽減につながるだろうか。
海洋機構が利用したのは、紀伊半島沖の海底で常時運用する地震・津波観測監視システム(DONET)。南海トラフで多発する微小な地震で、周辺の地殻や海が1秒前後の短い周期で振動し続けている現象を発見した。
この振動の波は「音響レーリー波」と呼ばれ、海底下の地殻を伝わる速さは、断層などの地下構造によって変化する。このため浅い地下の構造を詳細に解明するのに役立つという。
大気の風や海の波により起きる地球の振動では既に「脈動」が知られており、周期数百秒の「常時地球自由振動」は日本の研究者らによって発見されている。しかし地震は発生間隔が不規則なため、これまで振動の原因になるとは考えられなかったという。
わが国の海洋科学の技術は世界トップクラスで、観測のための緻密な体制や粘り強い姿勢も定評のあるところ。地下構造の変化の歴史などを明らかにすることが期待され、地震予知にもつなげたい。
周期的な振動の概念はガリレオ・ガリレイによって発見され、その後、多くの自然現象の中に見られることが明らかになった。地球内部でも重要な役割を果たしているということだろう。