政府が昨年12月にまとめた地方創生に関する…
政府が昨年12月にまとめた地方創生に関する総合戦略には、中小企業の事業承継支援の拡充が盛り込まれている。後継者不足で廃業に追い込まれ、独自の技術が失われるケースが目立っているためだ。
中小企業の後継者がいないのは案外、長年の教育の問題が絡んでいるのかもしれない。高度成長期前後、特に地方の中学校の生徒は先生から「もっと勉強しないと、中小企業にしか行けないゾ」のたぐいの“激励”を受けたものだ。
社会科などの教科書に登場した説明も、下請け、労働条件が良くない、ただ縁の下の力持ちといったものが多かったように思う。これでは、子供たちは中小企業に勤めたり継いだりする気になかなかなれない。
今日、事業承継に悩むのは、少子化問題とともに積年の教育的配慮のなさによるところも大きいのではないか。今はそうでもないようだが、教師が中小企業に負のイメージを持つ傾向は、そう変わらないという見方もある。
現在、中小企業の中には技術面で世界にとって欠かせない宝を保有する所も多い。業種も多彩で、大企業が手をつけにくいさまざまな分野に入り込んでいる。
日本経済の中で、その重要性は増しこそすれ減ってはいない。また、中小企業の経営者はより個人的で機敏な判断が要求される。常に生き残りのための経営手腕を試されるわけだ。「やりがいのある仕事だ」と子供たちに伝えたい。