日本列島を日本海側と太平洋側とに分けると…
日本列島を日本海側と太平洋側とに分けると、年間を通じた降水量は、冬季間の降雪のため日本海側の方が多い。元旦から3日にかけて、その気象統計を如実に示す天候となった。
北海道から中国地方の日本海側を中心に雪が降り、4日午前7時の積雪は青森県・酸ケ湯(ゆかす)で316㌢、青森市で105㌢など。近畿地方は2日正午現在で滋賀県長浜市が134㌢、京都府舞鶴市では31㌢となった。
一方、太平洋側は列島を襲った寒波の影響で冷え込んだ所が多かったが、概ね穏やか。都心では元旦に粉雪がちらついたが青空が澄み渡り、3日は小春日和を思わせる陽気だった。
元旦に降り積もる雪を連想させられる和歌は、大伴家持が天平宝字3(759)年正月に詠んだ「新しき 年の始めの 初春の 今日降る雪の いや重(し)け吉事(よごと)」。家持も編纂(へんさん)に関わった『万葉集』最後の歌として知られ、「の」を4度繰り返す調子が雪の絶え間ない落下をよく表している。
国司として赴任した因幡(いなば)国庁(今の鳥取県鳥取市)で。初春の大雪は良いことの知らせ、吉兆とされ、ことほぎの歌だ。ただし、万葉学者の故犬養孝氏は地方に追いやられた家持の鬱然(うつぜん)たる思いを指摘し、歌の描写と内面との対比の妙を強調している。
白は清浄、そこから無数の色や現象があふれ出る始まりのイメージ。元旦に降る雪が、正月の象徴的な風景として描かれるのはそのせいかもしれない。