今年の「紅白歌合戦」に出場する歌手が発表…
今年の「紅白歌合戦」に出場する歌手が発表された。あらゆる選考の常で、選ばれる者とそうでない者の区別が生まれるのは避けられない。
「なぜこの歌手は選ばれなかったのか?」、逆に「これといったヒット曲もないこの歌手が毎年選ばれるのはなぜなのか?」といった疑問が寄せられるのはいつものことだ。これに対して、選んだNHK側が「総合的に判断して……」と回答するのも毎年の光景だ。
NHKに限らず、誰かを選んで誰かを落とす場合、全ての理由が説明可能とは限らない。どうしても説明不可能な部分が必ず残る。
どうやら「総合的」という言葉は、説明できなかったり、説明しにくかったりする時に使われるようだ。強いて言えば、何らかの政治的判断がなされた場合、まさか「政治的理由」と言うわけにはいかないから、その代わりに「総合的判断」という言葉が用いられることが多いと思われる。
「紅白」のケースでは、例えば「芸能事務所との力関係」などといった微妙な要素が働いているのかもしれない。だが、「事務所がどうの……」と言うわけにはいかないので、その種の要素をひとくくりにして「総合的」と答えるのだろう。
「総合的」という言葉自体が政治的なのだが、それでもこの世の中には、それを重々承知の上でそう言わなければならない場面がしばしば存在する。イヤな言葉だが、それもまたこの世の真実だ。