「めくる めぐる 本の世界」。これは…


 「めくる めぐる 本の世界」。これは読書週間(10月27日~11月9日)の今年の標語である。毎年のことながら本を読む喜びを巧みに表現していると感じる。問題はどんな本を読んだらいいかということだろう。

 読書に慣れ親しんでいる人は読みたい本を選ぶのは難しくはない。しかし、普段あまり本を読まない人であれば、その選択に迷うはず。書店に行っても、膨大な数に目がくらむことは間違いない。

 かつては推薦図書として古典が挙げられることが多かった。だが古典を読むには、それなりの忍耐、そして辞書を引きながら読むぐらいの覚悟が必要。そんな苦行のような読書法を求められれば、途中で投げ出してしまうかもしれない。

 やはり最初は読む楽しさ、ものを知ることの喜びを味わえる本が必要である。その意味では、絵本でも童話でも気に入ったものを手当たり次第に自由に読むのがよい。

 最初から難しいものに取り組むより、その方が楽しさに出合う可能性は高い。現在はスマホなどで電子書籍を読めることもあり、かつてより選択肢は多い。

 気流子の場合、本が好きになったきっかけは趣味の昆虫採集だった。昆虫の世界に興味を持ち、『ファーブル昆虫記』を学校の図書館で借りて読んだのが出発点だった。そこから他の分野へも手が伸び、本の世界に迷い込んだ気がする。読書は、まず自分でページを開くことから始まることだけは確かである。