厚生労働省は、海外に行ったことのない…
厚生労働省は、海外に行ったことのない埼玉県の女性がデング熱に感染したと発表。28日には、新たに20代の男女2人の感染が確認された。国内感染は約70年ぶりだ。
大半は回復するが、まれに重篤化し死亡することもある。ワクチンや治療薬はなく、蚊に刺されないようにするしか対策はないという。もともとは熱帯や亜熱帯地方のウイルス感染症だが、気象環境などの変化で感染地域のボーダーがあいまいになっているとの指摘もある。
新型肺炎(SARS)やH5N1型鳥インフルエンザのパンデミック(大流行)、若年層を中心とした麻疹や風疹の流行などに対するわが国のワクチン開発能力の低下に危機感が高まっている。そんな矢先のことだけに不安が募る。
世界的には、緊急課題としてエボラ出血熱のワクチンや治療薬の開発が挙げられる。米英両国をはじめ先進国が開発に力を注ぐが、日本もワクチン開発に参加して医療面でも国際貢献をなすべきだ。
戦後、わが国は予防接種禍などで国が訴えられ敗訴してきた苦い経験があり、ワクチン行政は慎重を極めた。それにつられ研究開発も遅滞しており今日、克服すべき課題だ。
そんな中で解せないのは、子宮頸(けい)がんワクチンの接種について、行政当局の当初の積極推進ぶり。副反応報告が全国で相次ぎ、ようやく反省の色が見えてきた。ワクチン行政の一貫性のなさに苛立(いらだ)つことが多い。