テレビドラマ「半沢直樹」は好評裏に終了した…


 テレビドラマ「半沢直樹」は好評裏に終了した。久々のヒット作品となったが、このドラマの隠れたキーワードは「土下座」だ

 雨の中、路上で泥まみれになって土下座しながら融資の継続を懇願する半沢の父(その後自殺)の姿。半沢は父の復讐をとげるかのように、節々で「悪」に対して土下座を要求する

 東京駅の新幹線改札口で、駅員が暴力団風の男に土下座する場面に出会ったことがある。場所柄、100人程度の乗客が目撃していた。駅員は「エイッ」と気合を入れた後土下座した。相手は黙って立ち去ったが、土下座よりも、覚悟を決めた「エイッ」という小さな掛け声の方が心に残った

 土下座は日本では古い習慣のようだ。「魏志倭人伝」(3世紀後半成立)には「身分の低い者が道で貴人と出会うと、後ずさりして草むらに入り、両手を地について敬う態度を示す」とある。中国の役人は、そんな日本の習俗に興味を持ったのだろう

 懇願であれ敬いであれ謝罪であれ、身を低くして相手に誠意を示す究極の姿が土下座だ。「スイマセン」「申し訳ありません」という言葉が示す日本の「謝罪文化」の形でもあり、欧米の「訴訟文化」と比較される

 土下座には至らぬまでも、企業経営者らがテレビカメラに向かって謝罪を繰り返す光景がほとんど日常化しているのがこの国の実態だ。たまたま今、「謝罪の王様」という映画も公開されている。