わが国が世界に誇るトンネルと言えば本州と…


 わが国が世界に誇るトンネルと言えば本州と北海道を結ぶ「青函トンネル」だ。海面下240㍍、総延長53・85㌔は世界最長で、昭和63年に開業。当時の最高の技術と英知を結集した大事業だった。

 一方、トンネルはトンネルでも、こちらはその中に光を通し世界で初めて重力波を検知しようというもの。東大宇宙線研究所の巨大装置「KAGRA(かぐら)」のトンネルが先日、岐阜県飛騨市の神岡鉱山地下で報道陣に公開された。

 長さ3㌔のトンネルを2本、L字形に配置。各トンネルに真空パイプと鏡を設置し、内部でレーザー光線を往復させる。宇宙から重力波が届くと空間が微妙にゆがみ、2本のトンネルでレーザーが届く時間に違いが生じるため、それを検知する。

 世界の素粒子物理学者が注目する装置だ。重力波の巨大観測装置は欧米にもあるが、巧みなアイデアで精密無類の実験装置を地下200㍍より深く設置したところがミソ。「日本が最初に重力波を捉えたい」(東大宇宙線研の斉藤芳男特任教授)と意気込む。

 この先、重力波観測も大事だが、この装置が世界に知られ、世界の科学者、人々が行き来する拠点となることが楽しみだ。語らずとも科学技術立国・日本を世界に示すことができる。

 何の変哲もなく放っておけば見向きもされない岩盤をくりぬき、それを利用してまだ直接観測されていない現象を検出できる。人間の能力の素晴らしさも特筆すべきだ。