「夕立にぬれたる幹を蟻のぼる」(小島梅雨)…


 全国各地に被害を及ぼした台風8号が去り、関東地方は一段と蒸し暑くなった。群馬県館林市では11日、今夏最高の38・0度を記録。このほかにも30度を超えるところが都心をはじめ続出した。

 台風一過では、よくカラリとした晴天になるのだが、それは秋のこと。今回は梅雨の時期と重なり蒸し暑さばかりが感じられる。「7月では最強クラスの台風」と言われたが、こうした現象は地球温暖化の影響にもよるのだろう。

 かつて、団塊の世代が定年を迎えるということで、自然と触れ合いたいと田舎へUターンする傾向が話題になった。それを誘致する地方自治体の取り組みも、たびたび紹介された。

 ただ、生活の拠点を田舎に移すということは、社会環境のみならず、風俗習慣や人間関係の変化も関わってくるので、それほど簡単ではないことは確かである。

 隣近所との関係が希薄だった都市生活者にとって、田舎での付き合いは濃厚となるために慣れるまで時間がかかるだろう。むろん、そうした人間関係によって今までになかった生きがいを与えられる面もある。

 老後を迎え、帰農や田舎生活にあこがれる人は少なくない。だが、それを実行に移すとなると、なかなか踏み出せないのが普通だ。そのせいかもしれないが、せめて家庭菜園で土いじりを楽しむ――そんな高齢者が増えているようだ。