全国の公示地価(今年1月1日時点)は、…


 全国の公示地価(今年1月1日時点)は、東京、大阪、名古屋の三大都市圏で住宅地が前年比0・5%、商業地が1・6%上がり、リーマン・ショック前の2008年以来6年ぶりに上昇した。

 地方圏全体では住宅地、商業地ともに引き続き下落したが下げ幅は縮小、一部では上昇している。回復しつつある地価動向について、先日閣議決定された「2014年版土地白書」に分析があるが、興味深い。

 それは、投機目的で土地全体が高騰したバブル期と異なり、今回の地価上昇が「土地の収益性や利便性を重視した実需による上昇」であるというのだ。オフィスや住宅に対する需要の高まりを映したという判断だ。

 この傾向が今後、地方に広がっていくかどうか。地価上昇への期待は高まっており、国土交通省が13年度に実施した国民の意識調査では、全体の57・9%が投機目的ではなく実需を反映した地価の変動を「非常に好ましい」「まあ好ましい」と回答した。

 この10年間、地方の中心市街地の多くはシャッター通りと化し、地域経済の地盤沈下が著しい。地価が下がり続けることと地方の疲弊は並行的に進んだことを思うと、地価の上昇機運は地域再生の契機となろう。

 白書も今が街づくりの好機と指摘。産官学連携による地場産業の再興やベンチャー企業の誘致など、さまざまな土地活用の相乗効果による地域活性化を期待したい。