「正直に梅雨雷の一つかな」(一茶)。…


 「正直に梅雨雷の一つかな」(一茶)。梅雨は長雨のイメージが強いが、梅雨入りしてから集中豪雨と夏日が重なるような天気が続いている。

 もっとも、稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』(三省堂)には「南北の高気圧圏が交替する過渡期にあたり、うっとうしい天気が続き、ときに豪雨となる」とある。豪雨も梅雨の季節につきもののようだ。

 ただ、今回のような梅雨入り当初からの豪雨は珍しい。俳句の歳時記では季語として重要視されているが、広辞苑で見ると「六月(陰暦では五月)頃降りつづく長雨。また、その雨期。さみだれ。ばいう」といたってシンプルな説明。

 季節感や感性を重視する歳時記と意味を記す辞典の違いが出ていて興味深い。梅雨が季語の俳句には「妻よべば鶏来るや梅雨の宿」(為成菖蒲園)、「子を叱る妻を叱りて梅雨籠」(貴田星城)など意外とユーモアや含蓄のあるものが少なくない。

 『ホトトギス新歳時記』には「梅が熟するころの雨という意味から梅雨、じくじくして物みな黴が生ずるという意味から黴雨ともいう」との説明もある。梅雨の時期は食物にカビが生じ食中毒になりやすいので注意が必要だ。

 きょう午前中には、熱戦が続くサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、いよいよサムライブルーのザックジャパンがコートジボワール戦に挑む。梅雨空を払うような初戦突破を期待し、熱い声援を送りたい。