「親を見りゃボクの将来知れたもの」――…
「親を見りゃボクの将来知れたもの」――中学生らの作を集めた同名の川柳集(矢野壽男著、三笠書房)がベストセラーになったのは昭和47年。揺れる中学生の心が親たちを驚かせ、ちまたで中高一貫教育の必要性などが言われたことがあった。
しかし、それは一時的なもので「6・3・3・4」の学校制度変更の機運はしぼんだ。むしろ当時、文部省が追求したテーマは教育の機会均等だった。
具体的には高校進学率アップの動きに現れた。昭和30~40年代に著しい上昇を示し、49年には90%を超え、平成2年には95%に達した。高校全入はほぼ実現された。
その一方で平成に入って、それぞれの生徒の適性や能力に応えることができるよう、総合学科や全日制の単位制高校、小中・中高一貫校などが新設された。今や個性、能力を教育の場で切磋琢磨する時代となった。
下村博文文部科学相はこのほど、現在は特例でしか認められていない公立の小中一貫校を設置できる制度を導入する方向で検討に入ったことを明らかにした。実現すれば9年間の義務教育期間の課程を現行の「6・3」制だけでなく、地域の実情に応じて「5・4」「4・3・2」など弾力的に編成することが可能となる。
下村文科相は「子供の成長に合わせた柔軟な教育システムを構築することは大変重要。実行会議の提言を踏まえて検討を行う」と。義務教育について今世紀のメルクマールになるか。