今春卒業した大学生や高校生の就職率が…
今春卒業した大学生や高校生の就職率がこのほど発表された。大学生は4月1日時点で前年同期比0・5ポイント上昇の94・4%で5年ぶり、高校生は3月末時点で0・8ポイント上昇の96・6%で22年ぶりの高水準だった。
景気回復を背景に企業の採用意欲が高まり、就職環境の改善が続いていることが大きな理由だ。特に建設や医療・介護の現場などでの人手不足を受け、高校生の就職率はバブル期並みの水準となった。
介護の必要な高齢者の増加で、今後10年間で100万人に上る介護者が不足するとみられる。介護福祉士など専門の介護職を目指す若者にも期待がかかる。
従来、介護職員の離職率は高く(平成22年は労働者平均14・5%に対し17・8%)、「仕事内容の割に賃金が低い」「業務に対する社会的評価が低い」などの指摘が多い。これらは介護業界だけでなく、社会全体で解決すべき問題だ。
もっとも「若い人は…福祉や医療の広い分野でもっと知識を身に付け、新しい介護福祉士のイメージを切り開いていってほしい」(同文舘出版刊『介護とリハビリの仕事と資格』)という専門家からの注文もある。
介護というと老人への一方的な補助、あるいは心身ともにきつい労働と見なされがちだ。そうではなく、全く違った世代同士が交わり、知恵を出し合い、より良い関係を模索する――あえて言えば、介護の現場で新しい文化が創造されることを望みたい。