日本の国旗は日章旗とも呼ばれるように、…


 日本の国旗は日章旗とも呼ばれるように、中央の赤は太陽を表し「日出づる国」にふさわしい。太陽は生命の源であり、日本人はその恩恵をよく実感している。

 ところが地球から最も近い天体である月については、「花鳥風月」と言われ、愛(め)でる対象であるものの、地球の付随物という印象がぬぐえない。しかし実際は「月なかりせば地球はあらじ」で、地球が今のような安定した環境を整えるのに月の存在が欠かせなかった。

 このほど九州大と東京工業大の研究チームが、日本の月探査機「かぐや」などの観測データを詳しく解析。約40億年前の月には、地球と同じように大規模な磁場が存在し、自転軸も現在と数十度異なっていたことを明らかにした。

 地球や水星など大規模な磁場を持つ惑星は、磁極と自転軸の中心がほぼ一致することが分かっている。このため、約40億年前の月は現在とは違う面を地球に向けて自転していたと考えられるという。

 研究チームの高橋太・九州大准教授は、現在までの間に自転軸の移動を起こすような出来事があったと推定。「月に大規模な変化があれば、地球にも影響が考えられる。月と地球の両方に何が起きたかを理解できるようになるのではないか」と話している。

 地球と月は、いつも共にあった。その誕生時から互いに影響し合いあたかも兄妹のように育ってきたという事実が、科学でも明らかになりつつある。