「たんぽゝや一天玉の如くなり」(松本たかし)…
「たんぽゝや一天玉の如くなり」(松本たかし)。桜の花も散り、葉桜が春の光を浴びている。道を歩くと、タンポポの花を見かけることが多い。塀の間際でも懸命に咲いている様子はけなげな印象を受ける。
タンポポは漢字で「蒲公英」と書くが、その由来はあまり分かっていない。江戸時代には「鼓草(つづみぐさ)」と呼ばれていた。鼓の擬音が転じてタンポポというようになったとも言われる。
日本ではどこでも見られるタンポポだが、現在では外来種のセイヨウタンポポが多いらしい。繁殖力旺盛なのは、外来魚ばかりではない。一時期、生態系を脅かすのではないかと言われたセイタカアワダチソウは、その特徴や繁殖力から目立った個性があるが、セイヨウタンポポはほとんど在来種と変わらない。
増村征夫著『和名の由来で覚える372種 野と里・山と海辺の花ポケット図鑑』(新潮文庫)によれば、セイヨウタンポポの特徴は「総苞片(そうほうへん)の外側が反り返ること」とある。「総苞片」は花を束ねる部分。
試しに小社付近を散策し、タンポポの一本一本を調べてみた。その結果、セイヨウタンポポが席巻しているようだ。とはいえ、全部を調べてみたわけではないので、断言はできないが……。
タンポポは漢方薬としても使用された歴史がある。そのほか食用として、サラダなどに加えたり、根がコーヒーの代用品として利用されてきた。たかがタンポポとバカにはできない。