まがい物にまつわる話はいつの時代にもあるが…
まがい物にまつわる話はいつの時代にもあるが、メディアが発達し通信網が世界の隅々にまで張り巡らされている現代では、その悪影響が計り知れない 。
理研の小保方晴子研究ユニットリーダーらが英科学誌ネイチャーに発表した新万能細胞「STAP細胞」論文について、理研の調査委員会による最終調査報告書が発表された。この中で、博士論文の画像に酷似した実験条件の異なる画像をネイチャー論文に使ったのは「捏造(ねつぞう)」と断定された 。
会見では「論文データの信頼性を根本から覆すものであり、それを認識して不正を行った」(調査委の石井俊輔委員長)と指摘された。これに対し、小保方氏は「悪意のない間違いだった」と反論している 。
STAP細胞が実際に存在するか否かは別としても、小保方氏の責任はあまりに重大だ。もっとも、これは女性研究者1人にノーベル賞候補の学者や世界有数の科学研究所で責任ある立場の人たちが振り回された結果でもある。今、状況を把握し、的確にコメントできる人はいないのではないか 。
STAP細胞は、マウスの血液や皮膚などの細胞を弱酸性液に浸して刺激を与えるだけで作ることができるというものだ。理研は今後1年かけて検証実験を行うが、期待が大きかっただけに論文にまつわる問題は残念だ 。
日本の科学界への信頼は大きく損なわれた。理研は再発防止に向けて全力を挙げなければならない。