民間人による宇宙旅行


 日本の民間人として初めて実業家らが宇宙旅行に出掛けた。2週間足らずの宇宙滞在に費用は1人当たり数十億円といわれ、ごく一部の資産家対象というのが実情だが、民間に宇宙活用の門戸を広げるきっかけになったのは間違いなかろう。

米宇宙企業スペースXが開発した新型宇宙船「クルードラゴン」へ搭乗した宇宙飛行士の星出彰彦さんも「広く宇宙を活用していただく時代になった」と「民間宇宙時代」を強調している。

前沢友作さんがISS到着「着いちゃったよ」

国際宇宙ステーション(ISS)への到着を喜ぶ前沢友作さん(中央下)ら(日本時間9日、NASAテレビより)

昨年末には宇宙関連の興味深いニュースも入ってきた。わが国の誇る小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星「りゅうぐう」から持ち帰った砂の初期分析の結果が明らかになった。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが12月20日付の科学誌ネイチャー・アストロノミーに発表した論文によると、一つは、りゅうぐうが46億年前の太陽系誕生期から性質が大きく変化していない可能性があること。

もう一つ、その砂に有機物に含まれる炭化水素の存在が示され、かつて液体の水があったことが裏付けられた。これらは太陽系誕生初期の状態や、地球の生命起源を知る有力な手掛かりになるという。今春にも詳細な分析結果が出る予定だ。

今、地球上は一つの共同市場がつくられる勢いの一方、大国間で反目が募り世界は二分されそうな混迷も。生命起源の追究や宇宙時代への動きは「人類とは?」「宇宙から見た地球の存在とは?」の解答を求めるアクションでもある。