オレオレや架空請求、還付金、振り込め類似…
オレオレや架空請求、還付金、振り込め類似など特殊詐欺の被害が止まらない。中でも親心につけ込むオレオレ詐欺は昨年、東京都内で特殊詐欺の合計2600件余のうち1900件余(前年比36%増)を占めた。
被害額も約88億円のうち約55億円(同16%増)と突出しており、深刻な事態である。被害者のうち76%が60歳以上の女性。
携帯電話から息子を名乗ってのだましの口実は「小切手を入れたカバンを置き忘れた」「妊娠トラブル」「会社の金に手をつけた」の三つで87%を占めた。被害の実態に即した「母さん助けて詐欺」のネーミングで、被害防止の呼び掛けを工夫する警察。
昨年は全国で、首謀者93人を含む1805人を摘発した。このうち780人は文房具店店員や新幹線車掌、マンション管理人など詐欺を見破った人の協力で逮捕され、被害を防いだケース。銀行やコンビニの「声掛け」で被害を阻止したという新聞記事を目にした方も少なくなかろう。
被害防止の呼び掛けはそれなりの成果を上げているが、それでも被害が増えているのは「捕まるリスクが低く、見返りは大きい」(警察庁)から。犯罪に使われた携帯が身元を偽って契約されていたり、転売されたりしたものであることが犯人追跡を難しくしているのだ。
携帯は今や日常生活に欠かせないが、その不正利用をさせない仕組みづくりに、関係者は知恵を絞る必要がある。