緊急事態宣言が解除されて初めての週末


 神奈川県藤沢市の観光名所、江の島。弁天橋を渡ってから江島神社の大鳥居までの参道は、両側に煎餅や団子を売る店、土産物店が並ぶ。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されて初めての週末は、賑(にぎ)わいがかなり戻ってきた。

宣言の期間が長かった分、各地で人出が一気に増えたかというと、そうでもないようだ。NHKの調べによると、東京では前の週の土日に比べ、代々木公園で59%、浅草の浅草寺付近で39%人出が増えているのに対し、銀座付近は12%増にとどまり、渋谷スクランブル交差点は13%減だった。繁華街での増加はそれほどでもなく、観光地で顕著のようだ。

江の島も参道は混むけれど、目当ては潮風が吹き抜ける海辺である。代々木公園は広々としている。休日の外出も、できるだけ密になりにくい環境を選ぶ傾向があるようだ。ウィズコロナの知恵であり、新しい日常が生まれつつある。

東京の昨日の新規感染者は87人で、100人を下回るのは約11カ月ぶり。急激な減少とワクチン接種との関係について専門家の説明を聞きたいところだ。

専門家は第6波に対しても今のうちの備えを強調するが、それにワクチンがどう影響するのか、あまり語られない。

もちろん用心するに越したことはない。しかし観光や飲食業にとっては、秋の観光シーズン、年末に向けて少しでも業績を回復軌道に乗せたいところ。ワクチン効果の社会経済分野への広がりが望まれている。