損害保険大手の東京海上日動火災保険で、…


 損害保険大手の東京海上日動火災保険で、新たに2種類の保険に不払いの可能性があることが明らかになった。自動車保険のうち、事故で入院した際に掛かった費用をカバーする保険などで、最大約2万5000件に上る。

 この件も含め生命保険協会の佐藤義雄会長(住友生命保険社長)は先日、記者会見を行ったが「今のところ、われわれ(業界全体)に大きな盲点があるとは考えていない」と述べた。独り善がりのそしりを免れないのではないか。

 東京海上では既に社長が陳謝し不払い解消を約束したが、事の発覚はいわば昨日の今日と言っていい。生保各社が支払い漏れを防ぐ体制作りを進めてきたのは事実だが、生保協会会長は再発防止徹底の約束をこそすべきだ。

 保険業界では2005~08年に、同様の保険金不払いの不祥事が続出した。損保の場合、26社で確認された自動車保険などの不払いは合計で約49万件、約380億円に上り、大手各社は業務改善命令などの行政処分を受けた。

 保険の契約時はいい顔をするが、顧客の請求がなければ知らんぷりという保険業界に国民があぜんとさせられたのは記憶に新しい。それが今回、またまたの不祥事だ。

 老後の保障を求め保険に頼る人は多い。しかし、かつての不祥事の際には顧客離れが進んだ。一人一人に思いやりを持つ保険業の初心に立ち返らなければ、国民の保険不信が再び高まりかねないことを肝に銘じてほしい。