中国製の新型コロナウイルスワクチンの有効性…


 中国製の新型コロナウイルスワクチンの有効性への疑問が世界各地で起きている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、中国製ワクチンが使われているモンゴル、チリ、セーシェル、バーレーンの4カ国は、人口の50~68%が接種を完了したが、感染状況悪化ワースト10の国に含まれる。

 米国のファイザー製とモデルナ製のワクチンは有効性が90%以上確認されている。一方、中国のシノファーム製は78%、シノバック製は51%にとどまる。インドネシアではシノバック製を接種した医療従事者350人以上が感染した。

 イタリアのドラギ首相が「中国のワクチンは有効ではない」との見解を示したことに対し、中国外務省は「世界保健機関(WHO)は既に中国製のワクチンを緊急使用リストに入れている」と反発した。

 だが、シノバック製の有効性51%はWHOが定める最低の基準。インド型変異株「デルタ株」の蔓延(まんえん)で効果の低さが顕在化したようだ。

 中国疾病対策予防センターの高福主任は4月、自国製ワクチンの「有効率が高くない」ことを認めている。しかし中国政府はこれを否定し、高主任を非難した。中国のよくあるパターンである。

 巨大経済圏構想「一帯一路」に先進7カ国(G7)で最初に賛同したイタリアの首相からワクチンの有効性を否定され、中国も内心穏やかではないだろう。「健康シルクロード」と称したワクチン外交が、かえって信用を落とす結果となりつつある。