第6回恵比寿映像祭が東京都目黒区の…


 第6回恵比寿映像祭が東京都目黒区の東京都写真美術館を中心会場に、今月23日まで開催されている。展示、上映、ライブ・パフォーマンス、トークセッションと盛りだくさんで、“トゥルー・カラーズ”という総合テーマの下、多様な世界の見詰め方が示されている。

 グローバル化の進行の一方、文化の相互交流は創造性を刺激し、ローカルな存在を強く意識させることにもなった。激しく流動しつつある時代だということを痛感させる映像祭だ。

 新しい視点を持つアジアの作家たちの作品が注目されている。「西京人」というチームによる「ようこそ西京に―西京入国管理局」はそんな作品の一つ。「入国審査」の場を設けて、ユーモラスな理想国家のモデルを示す。

 メンバーは現代美術作家として活躍している小沢剛(日本)、チェン・シャオション(中国)、ギムホンソック(韓国)の3氏。国家というものの既成概念やそこに含む矛盾を問いかけた展示だ。

 下道基行氏の「torii」は、米国領北マリアナ諸島、中国東北部、台湾、韓国、ロシア・サハリンなどに現存する鳥居を撮影したシリーズ。今はベンチや門などに使われていたりしている。

 鳥居は神道のシンボルだが、歴史的背景が一変することで、日本の外ではそのシンボル的な性格を失ってしまう。世界は今どこに向かおうとしているのか、そんなことを考えさせられる映像祭だ。