米南部フロリダ州マイアミ近郊サーフサイドの…
米南部フロリダ州マイアミ近郊サーフサイドの高級マンションが崩落し、136戸のうち50戸以上が巻き込まれ、少なくとも5人が死亡した。文字通りぺしゃんこになり、断面をさらしたまま残った建物の写真が異様だ。
当のマンションは1981年、埋め立て地に建てられた。フロリダ州の建物は建築から40年後に安全性に関する認可を受ける必要があり、その手続きを進めていたそうだ。一体、何があったのか。
80年代は、日本でも鉄筋コンクリートの建物が都市圏だけでなく、地方でもにぎやかに建ち始めたころだ。軒の低い街筋にスカッとした鉄筋ビルが仲間入りして街並みが一変したりした。
ところが84~85年ごろ、需要が急増したコンクリートの質が低下し、骨材に塩分を含んだ海砂が混合していると、ある学者グループが指摘した。
実際その通りだったようで、骨材品質の改良が進んだ。当時の行政当局や建築業界の真摯(しんし)で素早い対応が幸いしたと今にして思う。建造物の素材や工法についてもチェックが厳しくなった。
米国の崩落マンションは、鉄のさびやコンクリート損傷を修復する工事を予定していたという報道もある。「この建物で起きていた異常について、いつか分かる日が来ると思う。米国にある建物が、ただ崩落するということはない」(バーケット・サーフサイド市長)。しかし建造物では、相当の年月を経て思いもよらない結果が出ることがあるから要注意だ。