このところ、新型コロナウイルス禍で閉店…


 このところ、新型コロナウイルス禍で閉店した元飲食店のさら地に黒いシートが張ってあるのを見掛ける。これは防草シートといい、雑草が生えないようにしたものだが、先日これがはがされて地面がむき出しになっていた。

 そろそろ建物の建設が始まるのだろう。コロナ禍によって閉店する店もあれば、ビジネスチャンスとしてそこに新しい店を開く業者がいる。副都心部の渋谷などの大規模な再開発には及びもしないが、東京近郊の駅周辺も開発の波が起こっている。

 緊急事態宣言などによる飲食業界の経営者の悲鳴を報道するテレビのニュースなどを見ていると、今後もこの動きは変わらないだろう。移り行くもののはかなさを記した鴨長明の『方丈記』ではないが、少しばかり感慨深いものがある。

 新しい店を見ると、そこが以前何の店だったのか忘れてしまいそうになる。閉店した店をリフォームして再利用している所だと、辛うじてそこがそば屋だったことを思い出す。今はカレー専門の店になっていて、客層も変わっているようだ。

 蒸し暑くなって、草木も勢いがいい。防草シートがない所では雑草が生い茂り、季節外れのタンポポが片隅に咲いている。雑草と書いてしまったが、昭和天皇の「雑草という草はない」というお言葉を思い出す。

 人間にとって有用でなければ、すべて雑草とするのはどうなのか。自然環境が植物を生かしていることを改めて考えてみる必要がある。