「はじめに神は天と地とを創造された。地は…


 「はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた」。旧約聖書創世記第1章の書き出しだ。誰がこのような文章を書くことができたのか、不思議に思うばかり。

 だが、どんな筆者だったかは想像できる。「主の山に登るべき者はだれか。その聖所に立つべき者はだれか。手が清く、心のいさぎよい者、その魂がむなしい事に望みをかけない者、偽って誓わない者こそ、その人である」(詩編第24編)。

 このような人であるかどうかは別として、このテーマに挑んだ写真家がいる。白川義員さんだ。東京都写真美術館で「天地創造」と題する作品展が開かれている(5月9日まで)。副題は「地球再発見による人間性回復へ」。

 地球上の偉大な自然が撮影された。「新舞子浜、赤景」という作品は干潟を主題にしているが、地は黒く、水たまりは赤とオレンジ。空も黒。人が出現する以前の太古の地球を見るようだ。

 白川さんの作品は大部分、日の出の時間に撮影されているので、原色のどぎつい不思議な色彩で満たされている。壮大、荘厳で、とうてい人が住める環境とは思われない。それが狙いなのだ。

 われわれの先祖がこの惑星に出現した時、森羅万象に凄絶(せいぜつ)な感動を覚え、深遠な畏れを持ったという。そして彼らは、その背後に宇宙に遍満する偉大な精神の存在を感得した。作者はその凄絶な感動を伝えようとしている。