菅義偉首相とバイデン米大統領の初の日米…


 菅義偉首相とバイデン米大統領の初の日米対面首脳会談後に出された共同声明。各紙第1面トップ見出しの「『台湾』明記」について、新聞(18日付)の識者コメントから。

 笹川平和財団上席研究員の渡部恒雄氏「(菅首相は)外交の表舞台での経験はないが、国内の調整能力はある。そういう人が実は米国から信頼される」(小紙)。また、台湾海峡の安定明記を「かつては言及しないことがリスク回避だったが、今や中国を牽制(けんせい)しない方がリスクとなるほど、軍事バランスが中国優位に傾いている」(産経)からだと。

 それでも声明は「同じ文脈で中国との対話や協力についても言及し、一定の配慮を見せた」(同)ことを指摘する。前嶋和弘・上智大教授も「『台湾を防衛する』といった具体的な文言を入れなかったのは、中国への過度な刺激を避ける意図がある」(日経)。

 一方、松田康博・東大教授は南シナ海での中国の「海洋権益の主張と行動を『不法』と言い切っている。日本のトップがここまで表明するのは初めてではないだろうか」(日経)と日中関係の変化を指摘する。

 予想される中国の反発に、同志社大の村田晃嗣教授は「中国側が尖閣諸島(沖縄県)周辺で威嚇的な行動に出るかもしれない」とそれなりのリスクを負い「日本にも決断が求められるだろう」(読売)と。

 元外務事務次官の竹内行夫氏も「確固とした覚悟としたたかな対応が必要だ」(朝日)と筋を曲げないよう求めている。