NHKBS1で「消えた祖父の謎を追う」…


 NHKBS1で「消えた祖父の謎を追う」という番組を見た。米国で太平洋戦争中に「敵性外国人」とされ、アーカンソー州の強制収容所に入れられた日系人の足跡をたどるドキュメンタリーだ。

 孫で写真家のレジーナ・ブーンさんが、日本人の祖父、宮崎鶴寿さんの墓地や、入れられた強制収容所の場所を探してたどり、最後はNHK長崎放送の協力で、祖父の故郷、長崎県までやって来る。

 「敵性外国人」として収容された日系人の話題は、映画化され、写真展で紹介され、テレビの番組で取り上げられたりしてきたが、その発端についてはあまり紹介されたことがない。

 大谷康夫著『アメリカ在住日系人強制収容の悲劇』(明石書店)に詳しいが、この措置は1942年にルーズベルト大統領が署名した大統領令9066号に基づくもの。だが、ルーズベルト大統領には相反する二つの情報が寄せられていた。

 大統領が派遣した調査委員会やFBIの報告は、日系人が「敵性外国人」であることを否定。一方、カリフォルニア州検事総長、西部防衛軍管区の司令官、そして高名なジャーナリストらは「敵対者」と偽情報をでっち上げた。

 人種的偏見と恐怖感、戦時ヒステリーにかられてのことで、特にメディアの力が大きかった。産業界の指導者はじめ大統領まで動かしたのだ。実態が解明されるのは80年代で、米政府による謝罪と補償が行われたのは88年、レーガン政権の時だった。