福島県会津地方の郷土玩具「赤べこ」に…


 福島県会津地方の郷土玩具「赤べこ」に人気が集まり、都内の販売店で売り切れが続いているという(小紙1月19日付「『赤べこ』人気沸騰」)。この玩具は平安期に疫病を払ったという赤い牛が由来で、人気は新型コロナウイルス流行のため。

 赤べこを作っている会津若松市の「手作り体験ひろば番匠」には通常の10倍の注文が来ているとのこと。「赤べこ伝承」の地が柳津町にある。三大虚空蔵の一つである円蔵寺だ。

 創建は大同2(807)年で、法相宗の徳一大師。堂塔伽藍(がらん)の焼失が何度もあって、本尊を祀(まつ)った現在の菊花堂は文政13(1830)年の建立だ。前に只見川が流れる岩壁の上にある。

 菊花堂わきの広場には立派な赤べこ像が置かれている。昔、再建の際、大きな木材を運ぶのに人々は困り果てたが、赤牛の群れが来て運搬を手伝い、建物を完成させる。その逸話を伝えている。

 牛の力強さにあやかり、郷土玩具ともなった。体は赤く胴に黒い斑点が付いている。赤は魔除(よ)け、黒は疫病から身を護(まも)ると言われる。菊花堂は脇から入るが、正面は広い縁側になっていて、前は川。

 正面に吊(つ)り橋と鉄橋が見え、左手に銀山川、右手に只見川の下流が遠望される。この堂内で1月7日の夜、行われたのが奇祭「裸まつり」だ。下帯一本の若者たちが堂内に飛び込み、押し合いへし合い、中央につるされた鰐口(わにぐち)によじ登る。今年はコロナ禍のため、参加者限定で行われた。