6日までの緊急事態宣言が、1カ月程度延長…


 6日までの緊急事態宣言が、1カ月程度延長されることが決まった。新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向にはあるが、昨日の東京都の新たな感染者数は165人で再び100人を超えた。

 長丁場の戦いを覚悟しなければならない。これを機に、学校の入学・始業時期を9月にする案も検討に上っている。ピンチをチャンスにということかもしれないが、簡単に結論を出せる問題ではないだろう。

 先週この欄で「家に籠(こ)もるのも悪いことではない。普段やらねばと思いつつできなかったことをするまたとない機会だ」と書いた。そういうふうに考える人は少なくないようだ。

 東京・世田谷区ではこの期間、粗大ごみ回収の申込件数が増え、通常7~10日以内の回収が3週間待ちになっているという(本紙4月30日付社会面)。自宅で過ごす時間が増え、身の回りを整理する「断捨離」を行う人が増えている。

 断捨離とはヨガや仏教の行に由来するもので、不要な事物を断ち、捨て、離れることで人生を改善する考え方のこと。モノの整理だけでなく、価値観の転換にも及ぶ。藤井靖・明星大准教授は「人生を立ち止まって考えるきっかけになっている」と指摘している。

 東日本大震災の時は、家族や愛する人々を失った被災者だけでなく多くの日本人が、人生における最も大切なものについて考えさせられ、価値観の転換を迫られた。今回も確かに、人生について考えるまたとない機会と言える。