4番目の「曜変天目茶碗」が発見された?…


 4番目の「曜変天目茶碗」が発見された? というテレビ番組(「歴史秘話ヒストリア」NHK総合)が放送された。曜変天目は、平安末期~鎌倉時代に中国で焼かれたもの。日本に3点のみ存在する。焼成の過程で釉薬(ゆうやく)が独特の変化をしたものを曜変という。天目とは浅いすり鉢型の茶碗のこと。

 3点とも国宝。「第4の曜変天目」が発見されたとすれば、国宝級ということになる。番組によれば、去年海外で発見され、日本で鑑定が行われた。映像で見ると、東京・静嘉堂文庫にある茶碗(「稲葉」と呼ばれる)に比べて地味な印象を受ける。

 新発見の茶碗が曜変天目と言えるかどうか、専門家の間でも見方が分かれているので、番組としては断定していない。「曜変天目の可能性がある」に留(とど)まる。

 そう言えば、昨年末出版された白洲信哉著『美を見極める力』(光文社新書)にも、別の「第4の曜変天目」が紹介されている。白洲氏は、父方の祖父母が白洲次郎、正子、母方の祖父が小林秀雄という華麗な系譜に属する古美術の目利きだ。

 その茶碗は『天皇の世紀』で知られる作家大仏次郎の旧蔵で、現在ミホ・ミュージアム(滋賀県)に所蔵されている。こちらは重要文化財に指定されている。

 白洲氏の著書に掲載されている写真を見ると、これも「稲葉」のような華やかさはない。白洲氏は曜変天目と考えてよいとしているが、「第4」であれ「第5」であれ、名品が発見、紹介されるのは楽しい。