新年度が今週から始まる。教育の正常化の…
新年度が今週から始まる。教育の正常化の実現を目指す一般社団法人全国教育問題協議会(全教協)がまとめた「日本の教育界の現状」を見ると、児童・生徒の“荒れ”が顕著になっている。
この中の文部科学省令和元年調査資料によると、小中高における暴力行為の発生は7万2940件で、前年に比べ9600件も増加した。また、自殺件数は332人で前年より82人増えた(うち、いじめが原因の自殺は9人)。
いじめの数は54万7000件で前年を13万件も上回った。いじめが原因で児童・生徒の心身に重大な被害が生じ、相当な期間の欠席を余儀なくされている重大事態は582校602件に及ぶ。
長期欠席・不登校者数は55万人で、これも前年に比べ増加。小中学生に多いが、高校生も5万2000人に上る。高校生の中途退学者は約5万人で、そのうち経済的理由でやめざるを得なかったのは2%にすぎない。
ここ数年、教育界は教員の超過勤務の是正に関する話題が中心を占めていた。その解決を図ることも大切だが、現場の教員の視線がきちんと子供たちの方に向けられていたかどうか。
教員は単なる労働者でも公務員でもない。子供の心身の発達に関わる教育者であり、その存在は子供の人格形成に大きな影響を与える聖職である。未来を担う子供たちの存在を貴重に思い、大切に育てていくことは全ての大人の役割だが、特に教員にはそのことが求められよう。