「純白のマスクを楯として会へり」(野見山…


 「純白のマスクを楯として会へり」(野見山ひふみ)。新型コロナウイルスについてのニュースが途切れる日がない。国内でも海外でも感染拡大が続き、いつ収束するか分からない状況だ。会社に行く途中でも行き交う人のマスク姿を見るし、電車の中ではマスクをしている人、していない人がいる。

 「たかがマスク、されどマスク」だけれど、コンビニやスーパー、ドラッグストアに行くと、マスクのある棚を探してしまう。棚はいつも空っぽだ。

 会社の同僚が、ドラッグストアで朝早くから並んでいる高齢者が買えなくて寂しそうにしていた話をしていた。話題はマスクだけでなく、トイレットペーパーやティッシュなどの払底に及ぶ。

 トイレットペーパーについては供給の見通しがついたようだが、マスクの方は増産の話があっても、店ではなかなか見られない。補充されても、あっという間に無くなってしまう。

 「1人1枚」という注意書きがあるが、それでも早い者勝ち。徐々に真綿で首を絞めるように、日常生活に不安が忍び寄って来ている。

 先日会社から帰宅する際、食品を買うためにスーパーに寄ったのだが、ないだろうと思ってマスクの棚をのぞいたところ、なんと2枚あった。驚いてよく見ると「子供用」とある。わずか2枚でも残っていたのは、自分よりも子供のいる家庭のためにという人がいたからだろう。世知辛い世の中で、少しばかり心が温まる思いをした。