中国・武漢から感染が広まった新型コロナ…
中国・武漢から感染が広まった新型コロナウイルスによる肺炎は、感染者800人以上、死者26人に上っている。春節(旧正月)連休で30億人が移動し、700万人が海外へ出国するという。最悪のタイミングである。
武漢で最初の原因不明の肺炎患者が発見されたのは昨年12月8日。30日に内部報告の公文書がインターネットに流出し、翌日ようやく市当局が27人の発症を公表した。しかしそれ以降も、人から人への感染はないとされていた。
今月20日に習近平国家主席が「迅速な情報発表」を指示して一気に数が増えた。最初の発見から約1月半が経(た)っている。初動の遅れが今の状況を招いたことは否めない。
中国は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の時も、事実を隠蔽(いんぺい)したまま春節を迎えたという前科がある。今回は、その轍を踏まないよう春節前に公表したのだろうが、それでも後手の対応だった。
日本は春節休暇の人気の旅行先で、中国から観光客が訪れている。感染者を水際で防ぐことが重要だが、体調不良などの自己申告の徹底やサーモグラフィーによる旅行者の発熱チェックで万全だろうか。解熱剤を使っている場合や入国後に発熱ということもありうる。
空港や旅行客で混雑するデパート、観光地で働く人たちには、普段よりストレスや負担がかかるだろう。マスクやこまめな手洗いなど自衛策を講じていくことが一人一人に求められている。