通勤に使っている小田急線のターミナル駅の…


 通勤に使っている小田急線のターミナル駅のトイレに入ろうとしたところ、入り口に紅い寒椿の花が活(い)けてあった。もうそんな季節かと、一瞬こころが和んだ。なかなか心憎いセンスだ。

 このトイレ、2年ほど前に美しく改装され、入り口に花が飾られるようになった。季節を感じさせる花を大きく活けているところが特徴だ。ほかにも、入り口付近にスーツケースなど大型手荷物を一時的に置いておく場所も作られた。ロック付きの紐(ひも)が付いていて、利用者は安心して用が足せるようになった。

 この駅は箱根方面に行く特急ロマンスカーが出るため、スーツケースを持った利用客などが多い。こうした客の利便を考えたのだろう。

 ある途上国の女子留学生が、日本は駅のトイレなどがきれいで使いやすく便利で助かると、かなり本音の感想を語ってくれたことがある。もちろん悪い気はしなかった。

 その国の本当の文化レベルは、表向きの華やかな部分よりも、トイレなど日常的で卑近なところに表れるのかもしれない。欧州を旅行して美術館などを訪ねると、その文化の華麗さに圧倒される。それと共に家々のべランダに飾られた花を見ると、その町の人々の心の豊かさが伝わってくる。

 東京五輪・パラリンピックの今年、沢山の外国人が日本を訪れる。駅のトイレの心配りに、日本文化の奥ゆかしさを感じてくれればいいと思う。ちなみに椿の花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」。