レバノンに逃亡した日産自動車の前会長…


 レバノンに逃亡した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の記者会見は、何ら新味のない一方的な日本の司法制度批判に終わった。多くの日本メディアを排除した上、「日本ではメディアに汚名を着せられた」などと批判。一方、海外メディアは会見を大きく報じた。

 フランスの国営TVフランス2は「全体として自画自賛の会見だった」としてはいるが、「仏メディアは総じて、ショーマンとしてのゴーン被告の能力にポジティブな評価を下した」と、本紙の安倍雅信パリ特派員が伝えている。

 ドイツのメディアにいたっては「日本が恥をかいた」(シュピーゲル誌)などと、日本の司法制度の不備が世界にさらされたと指摘した。

 拘留中のゴーン被告が妻との接見を禁じられたことなどを指すのだろうが、それは証拠隠滅の恐れがあったからだ。偽証容疑で逮捕状が出ている妻のキャロル・ナハス容疑者は、海外の事件関係者と証拠隠滅を図っていた疑いがあると10日付産経新聞は報じている。

 海外メディアは、ゴーン被告がどういう容疑で刑事訴追されているかなど、ほとんど関心がないようだ。ショーマン、ゴーン被告のパフォーマンスに幻惑されている。

 その報道を見ると、欧米人は自分たちの尺度を基に日本の司法制度を後進的とする偏見が根強いと痛感する。日本としてはその現実を踏まえ、情報戦略を駆使して国際的な評価と法の正義を実現していかなければならない。