警察庁が実施した高齢ドライバー対策の…


 警察庁が実施した高齢ドライバー対策のアンケート調査で「高齢者の運転は危ないと思う」と85%が回答した。高齢者による重大事故が近年相次いだことを考えると、2000人のモニターの回答としては当然かもしれない。

 以前、90歳を超えた男性の運転する車に乗せてもらったことがあるが、スピードは出さないものの内心冷や冷やだった。80代のある男性は、足がやや弱っていたので、都心での会合へは世田谷の自宅から車を運転していた。同乗させてもらった時は結構スピードを出していた。

 警察庁が70歳以上の高齢者を対象に実車走行実験をしたところ、一時不停止を少なくとも1回指摘された人が6割近くに上ったという。交差点で止まらずに進んで、横から車が入ってきたらどうなるか、火を見るよりも明らか。

 75歳以上のドライバーにはすでに認知機能検査が実施されているが、認知症でなくても、高齢者は反射神経や運動神経が鈍くなる。

 警察庁の有識者会議は、事故を起こすリスクがより高いとみられる75歳か80歳以上のドライバーを想定し、運転技能検査に合格するまで免許証の更新を認めない制度の導入を検討しているという。重大事故を防ぐには、それも一つの方法かと思う。

 一方、高齢者だけの世帯が増えていく中、高齢者の足をどう確保するかを考える必要がある。日ごろ車が欠かせない地方など、都市部以上に切実だろう。時間の差こそあれ、明日はわが身である。