安倍晋三首相の在職日数が通算2887日となり…
安倍晋三首相の在職日数が通算2887日となり、同じ山口県出身の桂太郎を抜いて歴代最長となった。これに対し、野党をはじめ「長期政権の弊害」ばかり指摘する人々がいるが、本末転倒した議論である。
安倍政権は民主的な選挙で選ばれた。長期にわたって安倍氏に政権を託したのは国民なのである。長期政権を批判する人々は、それが民主主義を否定するものであることに気付いていない。
長期政権がおごりや緩みに陥りやすいというのは事実である。しかし政治の安定、継続性、政策の長期的な展望など、利点は多い。それこそ一長一短である。結果的にそうなったのは、野党が責任政党になっていないからで、自分たちのふがいなさを棚に上げ長期政権の弊害をあげつらうのは笑止千万だ。
もちろん、在任期間が長ければいいというものではない。問題は、何を成し遂げたかである。戦前3度にわたって政府を率いた桂は、日英同盟締結、日露戦争勝利と大きな実績を残している。
その割に人気がないのは、長州・陸軍のドン、山縣有朋の操り人形というイメージがあることが大きい。日露戦争にしても乃木希典、東郷平八郎という前線の軍人に人気は集まる。そういう点で損をしているが、人心の掌握にも長(た)け政治家としての力量は小さくなかった。
安倍首相にとって、日露戦争勝利に匹敵する実績となると憲法改正しかないだろう。それを成し遂げて初めて桂を超えたことになる。