日本人のルーツに関する研究は明治以降盛ん…


 日本人のルーツに関する研究は明治以降盛んになる。古代人骨の発掘が進み、縄文人から弥生人へと明らかな形態的な変化が認められたからだ。現在は、先住の縄文人と中国・朝鮮半島から移住してきた弥生人が混血して日本人が生まれたとする混血説がほぼ定説となっている。

 考古学、人類学などさまざまな研究が行われてきたが、ルーツ研究に方法的な革新をもたらしたのが、DNAの解析だろう。とくに父親から息子へ受け継がれるY染色体の解析によって、日本人のルーツの系統的な分類までできるようになった。

 縄文時代は1万5000年前に始まったが、途中で人口減が起きたとする仮説があった。この人口減が実際に起きていたことも、現代日本人男性のY染色体解析で分かったのである。東京大学の大橋順准教授(集団ゲノム学)らのチームが、このほど英科学誌に発表した。

 それによると縄文時代終盤の3200~2000年前の間に、一時は26万人いたとされる人口が3分の1まで減ったという。

 狩猟採集生活の中、寒冷化によって食料が減ったことが、原因ではないかという。弥生時代に入り、稲作が伝わり食糧供給が安定するとまた、人口は急回復した。

 当然、寒冷化は東アジア全域を覆っていただろうから、大陸・半島の稲作民の日本列島への移住も促したと思われる。そういう点でも合理的な説明が成り立つ。それにしても気候変動のもたらす影響の何と大きいことか。