オーストラリアの海岸でサメ対策に本腰
サメの襲撃で観光への打撃を懸念
オーストラリアの海岸で、サメ襲撃による死亡事故が増加している。地元では、恐怖心から観光客が減少するとの懸念も出ており、各州政府は対策に本腰を入れ始めた。
豪州では長年、サメ襲撃死亡事故は毎年1件程度だった。しかし、ここ3年間は年2、3人が命を落とし、「怖くて海で泳げない」という不安の声が上がった。背景には、マリンスポーツ人気の高まりで海に入る人が増えたことや、地球温暖化に伴うサメ生息地の変化が指摘される。
西オーストラリア州のバーネット首相は昨年12月、大型サメが海水浴場近くで目撃されたら捕殺する計画を表明。大学と企業の協力で、サメに襲われにくくなると期待されるウエットスーツも開発された。ほかの州も、サメの接近を防ぐネットの設置など対策強化を検討中だ。
しかし、環境保護団体は「サメは生態系に不可欠で、絶滅の恐れもある」とサメ敵視に反発。連邦政府も「観光業への悪影響を懸念する気持ちは分かるが、バランスを取る必要がある」(ビショップ外相)と慎重姿勢を示している。(シドニー時事)