統一地方選の前半戦、焦点の大阪府知事・市長…


 統一地方選の前半戦、焦点の大阪府知事・市長のダブル選は、大阪維新の会が制した。府知事の松井一郎氏、市長の吉村洋文氏が辞任し、前知事と前市長が入れ替わって立候補するという奇策だった。それが、自民から共産まで含めた維新包囲網を突破した。

 下手をすれば大やけどを負いかねないところだが、松井氏らには深いところで大阪人の心を掴(つか)んでいるという自信があったのだろう。府市の二重行政の無駄をなくす「大阪都構想」実現のためだ。

 大阪の自民府連は、維新を倒すため、なりふり構わず共産党とも組んだ。この理念なき選挙戦略を厳しく突かれた。自民は野党連合との対決となった北海道知事選で勝利したが、4知事選で保守分裂選挙となり、福岡と島根で敗北した。

 理念の喪失、内部分裂こそ反省すべきだろう。分裂選挙となったのには、それぞれ事情があるのだろうが、基本的に慢心と危機感の不足があるのではないか。

 平成から令和に御代が替わろうとする今、少子高齢化、人口減など地方は深刻な課題を抱えている。これらを解決していくために掲げた政策の実現にどれだけ真剣さがあるのか。負ければ、政策実現への道がまた遠くなると切実に思わないのだろうか。

 「忖度(そんたく)」発言で塚田一郎国土交通副大臣が辞任に追い込まれたことも、影響がなかったとは言えまい。これも傲(おご)りからくる緩みとしか言いようがない。21日投開票の後半戦、参院選へ立て直しが急務だ。