拳玉ブームがじわり、世界で注目


「逆輸入」で復権、自由なスタイルに若者が熱中

拳玉ブームがじわり、世界で注目

閉店後、カットなどの勉強会の合間に拳玉の練習をする岩本さん(左)ら美容室のスタッフ=2013年12月19日、兵庫県西宮市

 海外から逆輸入する形で、新しいスタイルの拳玉ブームが日本でもじわじわと広がっている。欧米の若者らが「KENDAMA」を楽しみ、オリジナルの空中技などを披露する動画がインターネット上で急増、国内でも「日本が誇るかっこいい遊び」と20~30代が熱中する。

 兵庫県西宮市のオフィス街。閉店後の美容室で、カットの練習をするハサミの音に混じり、カンカンと小気味よい拳玉の音が響く。拳玉歴2年の同店オーナー岩本裕子さん(36)は器用に拳玉を操りながら「拳玉は集中力も体力もいる文化的なスポーツ」と笑う。

 ブームの火付け役の一人が、社団法人「グローバルけん玉ネットワーク」(長野県松本市)の窪田保さん(32)だ。日本では一定のルールに従い、技の速さや正確性、継続時間などを競うが、欧米の若者は拳玉を投げたりひもを持って振り回したり。窪田さん自身も日本では屈指の腕前だが、自由に楽しむ姿に衝撃を受けた。

 窪田さんによると、3年ほど前から欧米の若者を中心に拳玉人気が爆発的に広がった。世界には100以上のメーカーがあり、愛好家は独創的な技を編み出し、披露し合って楽しんでいるという。「日本発祥で、作る技術も随一なのに、国内では廃れる一方。世界から取り残されるのは悔しい」と2012年に同法人を設立した。

 13年11月には、手作業による加工の見事さから海外で数万円の高値で売買された拳玉「夢元」を復元した。生産中止になっていたが、製造元の「イワタ木工」(広島県廿日市市)と協力。初回の500本は世界中から注文が殺到し、30時間で完売した。

 窪田さんは「日本の技は正確で美しく、欧米の技は独創的でクール。自由な楽しみ方で、100年後にも残る文化として根付いてほしい」と熱っぽく語った。