徴用工像、実は日本人
「反日教育に利用」と批判
「少女像」の次は「徴用工像」が韓国ではびこっている。「少女像」は「日本軍慰安婦」を象徴するものとして作られ、特定のモデルはなく作り物だが、それ故に可憐な少女の姿に仕立て上げ、見る者に「日本の蛮行」を想起させるように演出されている。
一方「徴用工像」はいかにも虐待を受けてやせ細った、人権も何もあったものではない悲惨な姿を晒(さら)していて、実際にモデルがあったようだ。しかもそれが「朝鮮半島出身労働者」ではなく日本人だった。「北海道の土木工事現場で悪徳業者に酷使され、警察に救出された日本人」で「1926年9月9日付の『旭川新聞』に掲載された」写真が元になったものである。
日本では既にこの事実はメディアで報じられていたが、ようやく韓国もこれに目を向けざるを得なくなった。韓国で最初にこれを指摘する“勇気”を示したのはイ・オヨン落星岱(ナッソンデ)経済研究所研究委員とチュ・ドンシク地域平等の市民連帯代表で、ネットメディアの「第3の道」に掲載した「強制徴用写真、もう歪曲(わいきょく)をやめよう」の記事でだった。
これを「月刊朝鮮」(3月号)が取り上げた。メディアの影響力を考えると韓国第一の新聞社朝鮮日報の総合月刊誌という点で月刊朝鮮の波及力は大きく、「徴用工像」を韓国人と信じさせられてきた韓国人たちを戸惑わせるには十分だろう。
「第3の道」は、モデルが日本人だったこともさることながら、それが「地上波TVでも頻繁に報道され奴隷労働」と批判され続け、「高校の必修科目である韓国史の全ての教科書にも掲載され」、さらに「今では小学生の教科書にも載せられ、反日教育に利用されている」ことだと強く批判している。
さらに「国家が体系的に歪曲して、パートナーとして生きなければならない隣国に対して、このように悪意を持って歪曲されたイメージを植え付けることが、私たちの子孫の未来に何の役に立つのか」と省察を促している。
民間の「国史教科書研究所」は教育部(文科省)に苦情申し立てを行い、使用中止の仮処分申請も検討しているという。事実に目を向け歪曲をやめることができるか注目する。
編集委員 岩崎 哲