かつて力道山やジャイアント馬場らと対戦し…
かつて力道山やジャイアント馬場らと対戦し、日本にプロレスブームを巻き起こした覆面レスラー「ザ・デストロイヤー」本名リチャード・ベイヤーさんの訃報が米国から届いた。88歳だった。
デストロイヤーと言えば「足4の字固め」。この必殺技で力道山と死闘を演じ、日本のプロレスファンに鮮烈な印象を残した。気流子なども友達と4の字固めを掛け合ってその“威力”を実感した口である。
ニックネームは「魔王」。スポーツ新聞やプロレス雑誌の編集者が付けたものと思われるが、覆面をしたミステリアスな雰囲気にぴったりだった。
今振り返るとプロレスラーのニックネームには、なかなか秀逸なものが多かった。「鉄人」ルー・テーズ、「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノ、「黒い魔神」ボボ・ブラジル、「鉄の爪」フリッツ・フォン・エリック。渋いところではジン・キニスキーの「荒法師」というのもあった。
どれもレスラーのキャラクターと醸し出す雰囲気を的確にとらえていた。金曜日夜8時のゴールデンアワーにプロレスが放送されていた頃、今度はどんな外国人レスラーが来日するのかと、ファンをわくわくさせた。
そういう点で、デストロイヤーが日本のテレビのバラエティー番組にコミカルな登場の仕方をした時は、少し違和感があった。しかし、引退後も日米親善に貢献したことが評価され、2017年に外国人叙勲で旭日双光章を受章している。あの頃がまた遠くなった。