「門松を立て終りたる塵を掃く」(松田水石)…
「門松を立て終りたる塵を掃く」(松田水石)。街で門松や松飾りを見かけるようになった。クリスマスの前には少し早すぎる感じがしたものだが、今では歳末の風景としっくり合っている。
この期間は、キリスト教のクリスマス、仏教の除夜の鐘、神道の正月と、異なる宗教文化の行事が続いて目まぐるしい。ただ、それらが何の違和感もなく毎年行われているのは面白い。
年末恒例のイベントとして、最近はベートーベンの第9の合唱が加わるようになった。このように日本人が外国の文化を好むのは、かつて大陸や韓半島から文化を受容し、それを消化してきた歴史があるからだろう。その意味では、今では日本の伝統文化と思われているものでも、そのルーツをたどっていけば、海外から伝わったものも、案外少なくないのではないか。
例えば、正月における行事や儀式は、神道と融合した中国の道教の影響があると指摘されている。このような日本の精神文化を見た場合、神仏習合はごく当然の成り行きだったと言っていい。
とは言え、日本に根付かない宗教文化もあることも間違いない。海外からの文化を取捨選択して取り入れてきたのは、周囲を海に囲まれた環境条件が大きいだろう。
だが、現在のようなグローバルな時代では、それはもはや不可能である。これから日本文化がどのような変化を示していくのか、見守っていきたい。