日立化成で、半導体用材料などの新たな不適切…
日立化成で、半導体用材料などの新たな不適切検査が見つかった。顧客と約束した検査を怠ったり、検査データを改竄(かいざん)したりするなどの不正が、国内の7製造事業所全てで行われていた。出荷先は延べ約1900社に及ぶ。
不正の対象には、高い安全性が求められる原発向けの電源装置やコンデンサーなども含まれる。それが汎用品の部品として使われているケースもあり、影響が広がる恐れがある。
日立化成の丸山寿社長は記者会見で「(検査の不正を)少しくらいやっても大丈夫だろうというような、非常に甘えた、安易な感覚が蔓延(まんえん)していた。品質に対するモラルが失墜していた」「硬直的な人事制度に原因があった」と。
社員のモラル低下と表裏の関係にあるのが、技術者の劣化や不足の問題だ。10年以上前から、日本のメーカーでは、その中核にいた団塊世代の技術者らが定年退職したことを受け、技術継承や安全管理が大きな課題となってきた。
当初、熟練した技能を持つ社員を抱えていた中小企業が大きな打撃を被った。しかしここ数年、建築、自動車、素材、半導体、化学などの大手メーカーで製品管理に関する不祥事が生じているのを見ると、技術力や安全管理が不安視される事態は大企業に及んでいることは間違いなかろう。
どのような分野の企業でも、優れた技術者の養成には時間がかかる。モラル低下を防ぐだけでなく、深刻な人材不足をいかに補うかが経営者に問われている。