最近とみに利用分野が広がってきたドローン…


 最近とみに利用分野が広がってきたドローン(小型無人機)は、鳥のように飛び空撮できる一方、その運行は気象条件に大きく影響される。

 日本気象協会などは、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)にある世界最大級の降雨施設で、ドローンを大雨の中、飛行させる実験を報道陣に公開した。施設の天井からシャワーのように降らせた雨の最大量は、国内統計史上最大の10分間50㍉(1時間当たり300㍉)に上った。

 その結果について、主催者側は「本体をケースで覆った防滴ドローンなので大雨でも飛べるが、思わぬ隙間から水が入ることがあった」と報告。改良の余地は小さくないが、医薬品や荷物の配送、災害調査などに活用が進むと予想される。

 わが国で特に期待されるのは防災や気象観測への利用だ。京都大防災研究所などでは既にその挑戦を始め、活発に活動している火山の周辺や急峻な地形の場所でドローンによる風向き、風速、気温、湿度の観測実験が行われている。

 2015年の航空法改正で、飛行空域などが制限されるようになったが、今後小型ロボットに似た機能向上を果たせば、強風や豪雨時の観測も可能になるはず。

 近年、線状降水帯の発生により短時間で気象状況が一変したり、想定外の山崩れが起きたりする災害が頻発している。気象データをきめ細かく測定し、住民にもリアルタイムで送信できる仕掛けのドローン製作も視野に入れたい。