わが国は再生可能エネルギーの中で「風力」に…
わが国は再生可能エネルギーの中で「風力」に期待するところは大きいが、陸上での立地条件には厳しいものがある。一方、洋上ではどうかというと、世界の中で設備容量は非常に小さい。
2016年度末の時点で、中国が世界1位の1億6873万㌔㍗、米国、ドイツが続き、日本は336万㌔㍗で19位と風力先進諸国とは大きく水をあけられている。海洋立国のふがいない現状だ。
2年ほど前、早大で開かれた日本海洋政策学会のパネルディスカッションを取材した。そこで、わが国で洋上風車の設置が思うに任せないのは、開発事業者と地元の漁業者らとの間で合意形成がなされていないからだと議論された。
また、観光業者が「景観を損ねる」とクレームをつける場合も少なくない。事業者らは地元の反応に敏感で、開発以前の設置環境づくりに腐心せざるを得ないのだという。会議で「洋上風力産業への国レベルの支援が必要である」ことが強調された。
それに応えるということでもあろう、政府はこのほど沖合の風力発電の普及に向け、「促進区域」を指定し発電設備設置事業への参入をしやすくするための法案を作り、今国会提出を目指す。
風力発電の充実へ一歩前進と思いたいが、この法律で事業者が集まるかどうか。政府は事業者に許可を与えれば事は進むと考えているかもしれないが、そうではない。洋上発電には地域産業振興策の一環としての積極的な支援内容が必要だ。