東京藝術大学は今年で創立130周年を迎える…
東京藝術大学は今年で創立130周年を迎える。今月開かれた「シアター・シンポジウム~光のパイプオルガンを~」など記念事業が進行中で、10月10日には同大学奏楽堂で記念式典が開かれる。
グローバル時代とあって、ベルリン芸術大学はじめ5大陸にある諸大学と交流し、文化や芸術、芸術大学の在り方をめぐって議論する機会をつくるという。東京五輪に向けたネットワークの整備でもある。
今月行われた記者発表会で、2人のアンバサダーから興味深いコメントがあった。その一人、バイオリニストの諏訪内晶子さんは同大学客員教授。中学校時代の恩師が現在の澤和樹学長だ。
「澤先生に師事した時、藝大を受験してみようかと思ったけど学力がダメで、迷いましたが受験しませんでした」と難関ぶりを示す。さらに卒業後もどう道を切り開いていくのかは大きな課題。
「少しでも自分の道を歩み続け、長く活動できるようにするにはどうしたらいいのか、お伝えしたくて講義しています」という。同じアンバサダーで日本画家の松井冬子さんは、藝大出身だが、入学するのに6浪した。
定員25名のところに現役が1人、6浪が3人。そこは「6年間の地獄生活を終えるとまた地獄が待っていた」という厳しい世界。師の平山郁夫から「皆さんは受験を勝ち抜いてほっとしているが、10年に1人現れる逸材」と言われた少数精鋭主義。「救いは学友でした」と回想した。