寿司ネタとして人気の高いマグロ。中でも…


 寿司(すし)ネタとして人気の高いマグロ。中でもクロマグロ(ホンマグロ)は抜群の人気を誇る。しかしその資源量はどんどん減っており、海域ごとに国際的漁獲規制が行われている。

 太平洋のクロマグロについても、漁獲量の上限が国ごとに設定されている。そのうちの30㌔未満の小型魚は、今期の日本の漁獲量が6月の終了を前に既に上限を突破してしまったという。早くたくさん獲(と)れて良かった、ということにはならないのだ。

 漁獲量は、漁業者や漁船ごとに個別に割り当てられてはいないから、皆ヨーイドンで競争になる。もし個別に割り当てられていれば、魚を獲り急ぐ必要はない。市場の状態を見ながら獲り、出荷量をコントロールすれば、値も高く付く。

 先だって小紙の読者でつくる世日クラブで講演した小松正之・東京財団上席研究員が導入を提言している個別漁獲割り当て(IQ)制度である。アイスランドやニュージーランドなど、この方式を採用して資源を回復させ、漁業者の経営も極めて良くなっているという。

 四方を海に囲まれた日本。テレビでは全国各地の漁港に水揚げされた新鮮な海の幸や漁師料理が紹介され、日本は今も世界一の水産国と思っている人も多いのではないか。

 だが実際のところは、資源管理ができず、加えて漁業者の高齢化などの問題を抱える。将来の見通しは決して明るくないのである。そのことを直視し、持続可能な漁業へ脱皮していかねばならない。